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リハビリテーション部門
東横病院のリハビリテーション室は、診療協力部門として脳卒中急性期リハビリテーションを提供しています。
スタッフ
- 〔理学療法士〕 八木麻衣子(係長)、遠藤弘司、海鋒有希子。渡邉紗都 岩澤裕之
- 〔作業療法士〕 杉村誠一郎(主任) 長谷川さえみ
- 〔言語聴覚士〕 祖父江由佳 小原 望
一般の方々へ
リハビリテーションとは
リハビリテーションとは、患者さんの全人的な回復を目的として行われる、さまざまな医学的、社会的、精神的、職業的、経済的なアプローチの総称です。心身に障害をある人の人間的な復権を理念として、それぞれの方の能力を最大限発揮し、日常生活の自立を促すことを目標に行われます。
脳卒中による障害
脳卒中による障害には、さまざまなものがあります。手足が動きにくくなる麻痺や失調などの運動障害、言葉が出にくくなる失語症や目的とした動作が行えなくなる失行などの高次脳機能障害、飲みこみがしにくくなる嚥下障害、しゃべりづらくなる構音障害、感じにくくなったりしびれたりする感覚障害、便秘や失禁などの自律神経障害など、極めて多様な症状を呈します。脳の損傷部位によって、これらの症状は組み合わさって出現するため、症状がまったく同じという患者さんは一人もいないと言えます。そのため、それぞれの患者さんに最も適した、オーダーメイドのリハビリテーションプログラムが必要となります。
脳卒中急性期リハビリテーションの役割
これらの障害が生じた方が、ふたたび日常生活をおくれるようにするための治療がリハビリテーションです。一般的に、脳卒中のリハビリテーションは急性期、回復期、維持期に分けられます。そのなかで、発症後すみやかに開始される急性期リハビリテーションは、不必要な臥床により使わないことで起こる廃用症候群を予防し、機能の回復やセルフケアの自立を最大の目標として行われます。
チームで行うリハビリテーション
リハビリテーションは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリテーション専門職が、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、医療ソーシャルワーカーなどと協力し、それぞれの専門性を発揮することで、患者さんの能力を最大限引き出すべく効率的に行われます。東横病院の急性期リハビリテーションは、医師による治療や疾病管理と並行して、厳密なリスク管理のもとでの速やかな介入と、それぞれの患者さんの目標やゴールのチームでの共有を十分に行い、早期に日常生活動作を獲得することを目指しています。
当院での理学療法、作業療法、言語聴覚療法は、以下のような支援を行っています。
〔理学療法〕
- プロトコールに基づく早期離床
- 立ち上がりや歩行などの起居動作練習
- 装具・歩行補助具などの導入
- 下肢の筋力増強練習、可動域練習
- 持久力トレーニング
- 二次予防のための教育的介入
〔作業療法〕
- 肢の筋力増強訓練、可動域訓練
- 上肢の随意性向上訓練
- 食事や更衣、トイレ動作などの身辺動作練習
- パソコンや携帯電話、家事などの動作練習
- 福祉用具の導入
〔言語聴覚療法〕
- 言語訓練や記憶、注意力などの高次脳機能評価と訓練
- 嚥下機能評価および訓練
リハビリテーションの限界
残念ながら、現在の医療技術では脳卒中による機能障害を、完全に回復させることは不可能です。また、高齢である場合や、麻痺が重度である場合、高次脳機能障害がある場合、バランスの障害が強い場合など、初期の症状そのものが重度である場合などは、後遺症として症状が残る場合も多くあります。
多くの患者さんはリハビリテーションを行うことで、日常生活が自立して行えるようになったり、社会参加は果たしたりすることが可能となります。しかし、リハビリテーションの効果は患者さんそれぞれで大きく異なることも事実です。そのため、障害に合わせた生活像をしっかりと描くことが重要となります。
医療関係者の方々へ
脳卒中リハビリテーションにおいて地域包括ケアの中での役割
地域包括ケアへの移行が待ちかまえている今後、脳卒中症例では急性期病院での集中的なリハビリテーションの後に、在宅および施設などの地域へ直接退院するケースが増えると思われます。そのような流れに対し、今後は地域の回復期病院のみならず、リハビリテーション事業所の皆さまとの連携を深め、患者さんにとってシームレスなリハビリテーションを提供する施設の一端を担えればと思っております。
急性期医療のひとつとしてのリハビリテーションを提供するために
当院では、年間300例を超える脳卒中症例に対し、可及的に速やかな介入を基本とした急性期リハビリテーションを提供しています。また、中等度以上の障害を有した症例はもちろんですが、軽症例に対しても二次予防を目的とした介入を積極的に行っています。
急性期脳卒中の病態は非常に複雑であり、ひとりとして同じ病態の症例はありません。また、治療技術の進展によりさまざまなディバイスや薬剤が登場し、選択肢も増えつつあります。そのように多様化する治療方法を理解するため、リハビリテーションスタッフといえども医師のカンファレンスに参加し、最新の治療技術に対しての知見を更新することを行っております。
また、高齢化や生活習慣の変化により、脳卒中発症時に併存症を有している症例も多くなっています。そのため、脳卒中症例においても内部障害や運動器障害に対する全身管理が必要となる場合も少なくないため、リスク管理を医師の指示のもとに厳密に行っています。
チーム医療におけるリハビリテーション職種の専門性
脳卒中リハビリテーションは多職種の協同により提供されるチーム医療です。その中で、リハビリテーション専門職としてその専門性を発揮するため、当院の理学療法部門、作業療法部門、言語聴覚療法部門それぞれにおいて、以下のことに重点を置き、日々の診療を進めています。
〔理学療法部門〕
理学療法部門では、病態に合わせた可及的速やかな離床による廃用症候群の予防のほか、
身体機能の低下に対して総合的なアプローチを行っています。脳卒中ガイドラインでも発症後早期からの座位・立位練習、装具を用いた早期歩行練習が推奨されており、当院の理学療法部門においても十分に評価やリスク管理をした上で、ガイドラインに則った理学療法を提供しています。
また、当院から自宅他院が直接可能であるような軽症例に関しては、血管系疾患の再発予防において重要である運動習慣の獲得・定着を目標に、入院中より有酸素運動を含めた運動指導を行っています。
〔作業療法部門〕
作業療法部門では、発症早期より症状評価を行い、運動麻痺や感覚障害を呈した上肢・手指に対しての機能訓練を行っております。また、注意障害や記憶障害など高次脳機能訓練も一人ひとりの症状に合わせて、ベッドサイドより実施しております。
症状によっては利き手交換や補助具、自助具を処方し、可能な限り日用生活動作の自立に向けたアプローチを行い、速やかな日常生活動作能力獲得を目的とした作業療法を提供しております。
〔言語聴覚療法部門〕
言語聴覚療法部門では、失語症・構音障害といった言語障害、注意機能低下・記憶力低下といった高次脳機能障害、食事をとることが困難になる嚥下障害に対し、発症直後のベッドサイドからリハビリテーションを開始し、早期評価・早期訓練を実施しています。そしてそれぞれの症状に合わせ、よりよいコミュニケーション方法の指導や言語訓練、認知訓練や代償方法の検討、食事開始時期や食事内容の決定、間接・直接嚥下訓練を提供しております。
診療実績(平成25年度)
脳卒中リハビリテーション実施症例数
- 脳梗塞 206例
- 脳出血 57例
- くも膜下出血 19例
- 硬膜下血腫 12例
- 脳腫瘍 21例
- てんかん 41例
- その他 40例
平均年齢:68.9±14.8歳
- 開始時Bartel Index 26.0±30.0
- 退院時Bartel Index 66.2±35.9